2018年6月15日 公開日

新作『未来ラジオ』発売中! 『ラプラシアン』へインタビュー!

ラプラシアン 緒乃ワサビ インタビュー

売り上げが赤字でも0円でも立ち止まらない 美少女ゲーム業界を丸裸で突っ走る ラプラシアンにインタビュー!!

メイドさんと楽しそうに話しているお客さんを見るのが好きだったので、オタク業界がいいなと

────会社の方にお邪魔してびっくりしたのですが、みなさんお若いですね。

緒乃ワサビ:僕が今29で、今年30歳になります。原画の霜降が25歳で他のスタッフも20代半ばくらいなので、平均で27歳くらいですね。でも、だんだん歳を取ってきました(笑)


────若いみなさんのなかで『美少女ゲームメーカー』と言えばこれ!
というタイトルはありますか?

緒乃ワサビ:それぞれ微妙に違うんですけど、僕はオーガストさんの作品を最初にプレイしました。一番心に残っているのは、keyさんの『智代アフター』です。


────やはり挙がってくるタイトルが新しいですね。
そんな若手スタッフ中心の『ラプラシアン』についてお話を伺っていきたいと思います。
まず、どのような経緯で立ち上がったブランドなのでしょうか?

緒乃ワサビ:僕は大学生の頃、メイド喫茶に週6くらいで通っていたんです。
自称オタクウォッチャーだったんですよね。
メイドさんと楽しそうに話しているお客さんを見るのが好きだったので、オタク業界がいいなと。
そんなことを考えながら、ブランドの母体になる会社を立ち上げたんです。
大学生の強みは、大学へ自由に出入りできることだと思っていて。すこぶる当たり前のことなんですけど、社会人にとってはそうじゃないのかなと。
それで関東圏の色んな大学の漫画研究会に忍び込んで、クリエイター志望の人たちを集めていきました。初めの頃はイラストの受託をやっていて、霜降に会ったのもその頃ですね。
仕事をしつつ、企画を立ち上げるのに必要な人材を集めていった感じです。必要な武器が揃い、霜降も入社したタイミングでゲームブランドを立ち上げました。


────だからスタッフの皆さんは近い年代の方が多いんですね。

緒乃ワサビ:一緒に会社を立ち上げたのは高校の同級生ですし、霜降は大学で見つけた学生クリエイター。新しく入ったペレットは、霜降の高校の同級生です(笑)

物心ついたときから経済がずっと右肩下がりなんですよ。なので、毎年悪くなって当たり前みたいな感覚はありますね

────スタッフが揃ったところで「じゃあ美少女ゲームだ!」となったきっかけはありますか?

緒乃ワサビ:ソシャゲで大損したのがきっかけです。
実は最初、18禁のソシャゲを作ったんですよ。しかもフルスクラッチで!
他のサイトには載せずに自分たちでサーバーを借りて、全部自分たちで作りました。
その売り上げが、なんと0!


────リリースは?

緒乃ワサビ:リリースはしました。
したんですけど、名前も知らない会社がやっているブラウザ向けのエロソシャゲ、決済システムも自前という状況だったので、怪しすぎて誰も課金してくれませんでしたね。
さすがに少しくらいは利益があるかなと思ったんですけど、0円!
一人も課金しませんでした(笑)


────ソシャゲの開発を自分でやるのはすごいですね。フルスイングじゃないですか(笑)

緒乃ワサビ:フルスイングで三振しました(笑)


────三振の要因は?

緒乃ワサビ:やっぱり、自分の得意分野に集中できなかったことですかね。
じゃあ「得意分野ってなんだろう?」と考えて、美少女ゲームに決めました。
選んだ理由は3つあって、まずは高単価のパッケージ商品であること。
フルスイングして三振してみて、マスターアップみたいなものがわかりやすくあると、そこに向かって踏ん張れる気がしたんです。でもソシャゲだと毎月毎月それがあるので大変だなと。
しかもうちくらいの規模の会社がフルスイングで三振するとすごい大変なことになってしまうので。
高単価のパッケージ商品だったら、多少は赤が出てもゼロってことは恐らくありませんから。

2つ目の理由は、ゲームのシステムが確立されていて、物語作りに集中できると言うところです。
うちの会社は音楽、シナリオ、絵というのを基盤にやっているのですが、ゲーム作りとなるとシステムを考えないといけない。その専門家がいなかったので。それよりも「こういうシナリオで見せる!」みたいに考える方が好きだったので、そこに集中できるのにアドベンチャーゲームが一番良かったんですよね。様式美が確立されていた。

3つ目はユーザーさんにクリエイター買いの文化が根付いていること。
僕はラプラシアンでデビューした完全無名ライターですし、霜降も同人活動をそんなに活発にしていたわけではないので。もうとにかくクリエイターの名前にユーザーさんがついて来てくれないといけない。そうじゃないと永続できないだろうなと。

この3つの要素を考えたときに、この業界は全部ぴったりだったという感じですね。


────いまの世情というか状況でいうと、美少女ゲームそのものが厳しい状況だと思うんですけど。不安とかはありませんでしたか?

緒乃ワサビ:僕は昭和最後の年生まれなんですけど、確かバブル崩壊の直後とかで。
物心ついたときから経済がずっと右肩下がりなんですよ。なので、毎年悪くなって当たり前みたいな感覚はありますね。
7年前に会社を立ち上げたときも、リーマンショックがあったり3・11があったりして。しかもその時はまだ学生だったので、なんとか毎月お金を稼いでいる状況でした。もう生きていくのに必死で。ソシャゲの失敗もありましたし。0円に比べれば、いまの赤字くらいは……という感じです(笑)

彼は童貞キャラとして「逆にどういう初体験をすればいいのか?」ハードルがすごい上がってきてますよね

────なるほど。そのような経緯でいまの体制になったわけですね。
立ち上げからの理念と言いますかこだわりのようなものはありますか?

緒乃ワサビ:それはもう、中の顔が見えることですね。
最初から特A級の作品が作れるわけがないなと思っていたので。
応援してもらえるようにじゃないですけど、ファーストフード店なんかに行くとたまに農家の方の写真が貼られているじゃないですか。あのノリですかね。


────確かに、ホームページを見せていただくとコラムとか結構書かれてますよね。

緒乃ワサビ:そうですね。半分趣味みたいな感じですけど。


────クリエイターが名前を出すことで、ファンからの反応などはありますか?

緒乃ワサビ:霜降が25歳にして童貞なんですけど、彼を公共の場でいじるみたいなのがうちの伝統芸能みたいになってます。彼は童貞キャラとして「逆にどういう初体験をすればいいのか?」ハードルがすごい上がってきてますよね。僕は妻子持ちなんですけど童貞っぽいって言われることが多くて。
最近はセックスレスが祟って童貞っぽさが戻ってきた感じはあります。

処女膜教授っていうのがいるんですけどね。顔が処女膜になっているんです

────童貞弄りを作品に盛り込める現在の世情についてどう思いますか?

緒乃ワサビ:すこぶるありがたいですよね。
もしかしたら日本で一位か二位くらい、恩恵を享受していると思いますから。
ユーザーさんからも「僕も童貞なんです」みたいなコメントがたまに来たりするので、童貞ってカミングアウトしやすい空間をプロデュースしていく使命があるかもしれないです。


────今まで童貞を弄っていて大きな話題になったことはありますか?

緒乃ワサビ:『ニュートンと林檎の樹』です。これで一気にイメージがついた感じです。
作品自体が童貞主人公のせいで、ニュートンが万有引力を思いつかなくなってしまうという内容なので。体験版で「前作と全然違うの出して来たぞ」とちょっと話題になったところから、一気にパブリックイメージがついてきた感じですね。


────ラプラシアンさんの作品に登場するキャラはどれも濃いですよね。
特に思い入れのある子はいますか?

緒乃ワサビ:処女膜教授っていうのがいるんですけどね。顔が処女膜になっているんです。
それは思ったより受けたなっていう感じです。
一作目のおまけルートで唐突に登場するというのをやったんですけど、これが思いのほかウケましたね。


────こういった話でヒロインじゃないキャラが出てくるとは思いませんでした(笑)

緒乃ワサビ:あ、そうですか?(笑)


────童貞弄りもそうですが、ネタの部分を結構大事にされてますよね?

緒乃ワサビ:思いついたら入れておくという感じです。
下ネタが多いって言われるんですけど、あまり自覚はないんですよね。
ただ、ぬるい下ネタは一番寒いので。やるときはフルスイングって決めてます。


────処女膜教授はだいぶフルスイングですよね

緒乃ワサビ:これ下ネタなのかよくわかんないですけど(笑)
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この記事のライター

かいちょ かいちょ

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