minoriのプロデューサー、nbkz氏にインタビュー! 最新作『その日の獣には、』1月25日発売!

最新作『その日の獣には、』の発売を間近に控えたminori。 今回は、プロデューサーのnbkz氏にブランドの歴史とこれからのminoriについてお話を伺った。

目次

モニター販売について

minori様インタビュー掲載を記念して2019年1月25日発売の「その日の獣には、」のモニター販売を実施いたします。
新製品モニターとして【シンプル版】を7,000円(消費税・送料込)でお求め頂けますのでこれを機に是非お求めください。

本フォームでご応募頂き、担当者からメールで連絡し決済等の手続きを進めさせて頂きます。
なお、応募多数の場合は抽選とさせていただきますのでご了承ください。

応募締切は2019年1月18日(金) 24時まで

デビュー作の『BITTERASWEET FOOLS』は、様々な人の協力で作られました。

──minoriさんのデビューは2001年ですね。

nbkz:2001年8月ですね。よくもここまで続いてきたと思います。
潰れるチャンスは何回かあったんですけどね(笑)。


──これはどういう経緯で立ち上げられたんですか?

nbkz:『BITTERSWEET FOOLS』を制作することになったので、立ち上げたのですが、
これは想定外でした。


──詳しく教えてください。

nbkz:当時僕はマンガズー・ドット・コムという会社にいて、
漫画関連のウェブサイトの制作と編集をやっていたんですが、毎年赤字を計上していたんです。
今では当たり前となった広告モデルがまだ機能していなかったので仕方無い時期でした。
いずれ資本が尽きてしまうので、会社としても他の事業を模索していました。
ちょうどその頃、MANGAZOOの同人誌を扱う記事で知り合った
相田裕さん(http://www.remus.dti.ne.jp/~jewelbox/)
が原画を担当していた美少女ゲームが、いろいろな事情から頓挫していて、
「これを何とかできないか」って相談されたんです。
詳しく聞くと「プロットとキャラデザインはある」と。
それで他に必要なスタッフを集めて制作することになったんです。


──それまで美少女ゲームを製作された経験は?

nbkz:ないですね。美少女ゲーム以外のゲームを経験したことはありましたが、
美少女ゲームは未知の領域でした。
でも、せっかく知り合った仲で、困っているのを聞いてなんとかしたいなぁと思った気がします。
その頃僕は社内では部長扱いである程度予算を動かせたこともあり、
その中の一部をこっそり使って、とりあえず会社にプレゼンできるところまで
作ってしまおうと始めたんです。
そこまでいけば会社に通せますし、通らなかったら独立して作ればいいやって。


──すごい背負い込み方ですねえ(笑)。

nbkz:社内ベンチャーというのも流行ってましたし、まぁなんとかなるだろうと(笑)。
どちらにしても、会社は毎年赤字を計上していましたから、
何か利益を出すものが必要なんじゃないかと思っていました。
ある程度、見せられるものを作っておいて、当時の副社長にプレゼンしました。
「それ、もうかるの?」「それなりには」「で、もういくら使っちゃったの?」
「700万くらい」「そうかー、じゃあやろうかあ」みたいな感じで、
意外とするっと通ってしまって、どうしたものかなぁと(笑)。


──なんかもう、言葉もないんですが……。

nbkz:そうでしょう(笑)。2000年の夏くらいで、年末少し前から実制作に入り、
8ヶ月くらいの制作期間でリリースしたと思います。
ただ、美少女ゲーム業界にツテなんかないので、
なにもかも手さぐりなんですよ。それでコミティアで当時『電撃姫』にいたTさんに
「何とかしてくれ」って泣きついて。それでTさんが他の雑誌編集者を紹介してくれて、
そこからはわらしべ長者方式ですよ。「〇〇さんから紹介されたんですけど」って電話をして、
つながりを広げていきました。こうしてできたのが『BITTERSWEET FOOLS』です。


──『BITTERSWEET FLOOS』は発売当時、独特の作品性で話題になりましたよね。

nbkz:それは僕が美少女ゲームの作り方を知らなかったから、他と違うものができたんです。
実際にプレイしたのも『雫』と『痕』くらいしかなかったですし。


──制作はどのように進められたんですか?

nbkz:二毛作でしたね。昼間はウェブサイトを作って、夜に制作進行をする。
プログラムはウェブサイトを作っていた人間が本を片手にプログラムを組んでいたし、
グラフィックは他の会社で働いていた結城辰也(https://www.pixiv.net/member.php?id=27691)を
連れてきて。音楽に関しては付き合いのあった編集者が知っていたツーファイブを
紹介してもらったし、背景の会社もそうですね。みんな人づて。
紹介でできたのが『BITTERAWEET FOOLS』なんです。

──でも、優秀なスタッフが集まりましたよね。
OPムービーは新海誠(http://shinkaimakoto.jp/)さんでした。

nbkz:『BITTERSWEET FOOLS』が動く前に赤字対策でいくつか事業を動かしていたんですが、
そのひとつにストリーミング配信事業がありました。
そこで流せるものを探しているときに、
プロジェクトチームDoGA主催の第12回CGアニメコンテストでグランプリを獲得した
新海誠さんと会ったんです。『彼女と彼女の猫』(http://www.kanoneko.com/
の時ですね。当時、確か映像の入ったディスクを手売りされていて、
さすがにそれもきつかろうと思い、配信と通販のセットでお話をさせて頂いたんだと思います。
で、そんなこんながあったんですが、新海さんが、次作「ほしのこえ」の制作に
集中するからということで、会社をお辞めになったんですよ。
で、まだまだ時間がかかりそう……という感じだったので、
その間に何らかの仕事を発生させてお金を払わなきゃ! と思ってて、
「じゃあ、このゲームのムービーを作って」と、切り出したんだと思います。
当時、オープニング映像は必要というものの、どんなものが時流なのかまったくわからないので、
とりあえず「こうかな?」くらいの手探りでやった記憶があります。
美少女ゲームの素人が集まってやってたから、
あぁいった形のものになったのかもしれませんね(笑)。
売り上げ自体はだいたい1万本くらい。
デビュー作としてはまぁまぁいけたんじゃないかなぁと思いました。

(efシリーズは)最初から漫画・アニメ・ゲームの三本柱で動かそうと決めていました。

──その後、2002年4月に『Wind -a breath of heart-』、2004年7月に『はるのあしおと』
と、連続でヒット作品をリリースされます。

nbkz:『Wind -a breath of heart-』は3万本くらい売れました。
でも、この時はまだ僕はウェブサイトも作っていたんですよ。
昼から取材やウェブ制作をして、夜はゲーム制作でしたね。
ところがこの『Wind -a breath of heart-』で、僕がゲームの作り方を知らないことが露呈したんです(笑)。
いや、笑ってる場合じゃないんですけど。
というのも、このゲームは共通ルートのあとにヒロイン5人のルートに分岐するんですが、
共通ルートの分量に対して、ヒロイン5人分で共通ルートより
ちょっと多いくらいの分量しか用意してなかったんですよ。
つまり、個別ルートがそれぞれとても短くて駆け足になってたんですね。
個別バラバラで読んでいて気づいていなかった。
今となっては当たり前のことすらわかっていなかったわけです。
それで、実際どのくらいの比率になっていれば気持ちよく読めるのか
考える時間が必要になったわけです。
そして、3本目『はるのあしおと』を制作しました。


──では、『Wind -a breath of heart-』から『はるのあしおと』まで、2年以上空いているのは……。

nbkz:美少女ゲームの作り方を一から勉強しなおしていたんです。
こんな状態で3万本売れちゃったのは、後にしてみればずいぶん恥ずかしい話ですよね。
ほんと自身は反省しか無いんですが、いいこともありました。
『Wind -a breath of heart-』が売れたおかげで、社内に「ソフトウェア事業部」が新設されました。
それまで「制作部」というWebからゲームからシステムまで何でも作っていた
一部署だったのですが、事業部化されたことで、ゲーム制作に専念できるようになりました。


──そんなminoriさんの転機となった作品として、「ef」シリーズがありますよね。

nbkz:この作品は最初から漫画・アニメ・ゲームの三本柱で動かそうと決めていました。
MANGAZOOに来る以前からの知り合いやら、その後出会った人たちを考えれば、
何らか複数のメディアを絡めた展開ができるんじゃないかと思っていて、
原作を作っておいて、漫画、アニメ、ゲームのそれぞれの特徴を活かした
方法論で世の中に出せないかなぁと。
早い時期で前後編の2本立てなることが決まっていたので、
それぞれのメディアで出す順番を効果的にやれないか相談して決めていきました。


──PCゲームでいえば第1部の『ef - the first tale.』は2006年12月、
第2部の『ef - the latter tale.』が2008年5月にリリースされています。

nbkz:時間がかかりすぎましたね。
最初の予定では後編は本当はもう1年くらい前に出す予定でした。
ですが、今見てもリッチな素材の使い方だなぁと自分でも思う通り、
とにかく素材が莫大な量になってしまい、やってもやっても終わらない状態になっていました。

妥協点を模索してもよかったんですが、開き直る方を選択しました。「もう、いいや」と。
とにかく金を使い切るつもりで作ろう、と。それでダメなら会社を辞めればいいや、と。
ところが『ef - the first tale.』を出す前後で会社の解散が決まってしまい、事業を引き継ぐか、
手仕舞いするかの二択になったんです。
引き継ぐにはそれなりの資本が必要ですし、
かといって、first tale.ほどの規模で作るには予算が相当必要なのもわかっていました。
テキストは全て出来上がっていたので、何らかの形で世の中に出して終わりにしようかなぁ
と考えていたところ、ここまでで知り合った企業さんが共同で出資してくれることになりました。
ほんと、無茶な金額だったので、まさに漢気出資。今でも感謝しかありません。


──そこで出資が集まるというのもすごいですね。

nbkz:アニメ化が決まっていたり、前編の実績というのもありましたけど、
今よりエンターテインメント産業の景気が良かったというのもあったと思います。
もちろん、出資して頂いた分以上のお返しはできたので、
お互い胸を撫で下ろせたのではないでしょうか(笑)


──その後、全年齢作品をリリースしていきます。

nbkz:『eden*』(2009年9月発売)は一般でパッケージを出して、
18禁パッチを当てるというのを最初から企画していました。
当時、将来的にギャルゲーもオンライン販売が主流になると見ていて、
その時に「非エロ」じゃないと売ってくれるところが無いんじゃないかと考えていたんです。
それに店舗を見ても、非エロのほうが置かれている期間が長い。
ならば非エロで出して18禁パッチを別途調達してもらうという方法がいけるんじゃないか、
と思って出したのが『eden*』です。
この作品はその後同じ方法でsteamで出して大成功して、
長いことminoriの屋台骨を支えてくれました。


──ですが、その方法は次の『すぴぱら#01』(2012年5月発売)で終わり、
同年12月発売の『夏空のペルセウス』から18禁パッケージに戻ります。

nbkz:そうですね。というのも、当初は一般ラインと18禁ラインの
制作ライン2本体制で行こうと考えていたんです。
ところが『すぴぱら』で予算をかけすぎて、そこそこ売れたのに赤字になるという
状況になってしまったんです。
これもパッチ方式は考えていたのですが、その制作もおぼつかないほど、追い込まれました。
でも、自社の内部留保を全部吐き出せば、すぴぱらへの出資も元金くらいはお返しできるし、
スタッフへの退職金も微々たるものですが出せそうな状態だったので、
ここで、会社を畳んでしまおうと考えていました。
それで、出資して頂いた各社さんにお詫びの報告に行きました。
すると「ちょっと待て」と。とりあえず、すぴぱらのリターンはいいから、
手元のお金でもう1本くらい作りなさいと。


──そういうピンチに助けが入ることがすごいですよ。

nbkz:というより、辞めることも許されない雰囲気を作られてしまったんですね(笑)。
それで『夏空のペルセウス』を作るわけですが、それまでより発売期間が短いでしょ?
これは早く作らざるを得なかったというのもあるんですが、
2ライン体制にしようとしていたので『夏空のペルセウス』の企画などは
早くからできていたからなんですよ。
もしも順調に進んでいたら、一般作(+パッチ)と18禁作を出して行く予定だったので。

一緒のチームで仕事をし続けることで、 その会社やチームの文化というのは受け継がれていくと思うんです。

──その後はコンスタントにソフトを出されていますよね。

nbkz:1年に1本ペースですね。この頃から、人材育成を考えるようになりました。
それまでは少人数のコアスタッフだけを会社において、
他は外部スタッフを使って制作していました。会社経営を考えると、正しいやり方なんです。
ただ、それをやり続けると人が育たないんですよ。
それは技術的な問題ではなく、「美少女ゲーム」という文化の担い手の育成という意味です。
一緒のチームで仕事をし続けることで、
その会社やチームの文化というのは受け継がれていくと思うんです。
そういうノウハウだったり、会社じゃないとわからない部分を受け継いでいくためにも、
社内にスタッフを置いて育成していったほうがいいだろう、と。


──それは作品ラインナップにも現われています。
2011年以降、美少女ゲーム市場は萌えエロ路線に大きく舵を切りました。
しかしminoriさんは変わらず物語とキャラを掘り下げる作品を作られています。

nbkz:minoriがそういう作品が得意としていないですから(笑)。
結局美少女ゲームも趣味の世界なので、全員に100点なんてことはないんですよ。
誰かにとって100点でも、それは0点という人もいる。
それがエンターテインメントの世界なんだから、いろんな作品があっていいじゃないですか。
だから自分たちの得意なもの、好きなものを作って、
その周辺にそれを支持する人が集まっていけばいいんじゃないかと思います。


──確かにそうです。

nbkz:そしてそれは、結局のところユーザーさんを信頼できるかどうかなんです。
「こういうことをしなければユーザーさんは振り向いてくれない」じゃなくて、
「自分たちがいいと思ってやっていることを正しく伝えられれば
受け入れてくれるユーザーさんは必ずいる」んじゃないかと。
もちろん、人数という壁はあるのですが、
自分の好きをユーザーさんはちゃんと判断してると思います。
ですからminoriはminoriで自分たちの好きだったりいいと思ったものをリリースできるのが、
この市場のいいところなんじゃないでしょうか?


──そういう考え方に通底しているのが、minoriさんの名前の由来になった
「We always keep minority spirit」なんですね。

nbkz:そうです。「メジャーな作品も作っているじゃねえか」とも言われますけど、
確かにそう見える作品もありますけど、市場を分析した結果そうなっているわけではなくて、
その瞬間に作りたいものを作っているだけなんです。
たまたま時流に乗ることもあれば、まったく正反対のものになることもある。
例えば、エッチシーンなんかは、それが顕著に出ている気がします。
特に今作「その日の獣には、」でも盛り込みまくりです(笑)。


──お話が出ました『その日の獣には、』ですが、これはどういうコンセプトの作品なのですか?

nbkz:直球ですが、箱庭劇を、今回は劇中劇で描きたいと思ったんです。
そこに登場する女の子は自分であって自分でない。
これまでも女の子の二面性を描いてきたんですが、劇中劇ということで、
ヒロインが意図して演じている二面性という部分を描いています。
話していてちょっとミスリードになっていそうな気がしてきましたが
「何が劇でどこが舞台なのか?」という観点に摩り替えるとわかるかもしれません。
そしてもうひとつは「欲望とは何か?」ということです。
「人は何かを失う代償に力を与えられたときに、それを天秤にかけて、欲望に勝てるのか」
ということ。それを考えていく中で、企画にまとまってきた感じですね。



──今回も難しそうなテーマですね。

nbkz:なかなか物語にまとまらなくて。
だから1月に『トリノライン:ジェネシス』を出したんです。
前作『トリノライン』から間が空いてしまうから、そのストレッチにファンディスクを出そう、と。
少し小さなプロジェクトになるので、若手社員をメインに立てて経験を積んでもらう意味もります。
まあ、ファンディスクを出すときは、だいたいそういう理由ですよ(笑)。

nbkz:もうひとつ、人材育成もあって時間を空けたというのもあります。
というのも、企業の代謝と考えた場合、当然スタッフの独立は視野に入れていかねばならない。
でも、それは推奨されることなんじゃないかと。
この会社に所属して蓄積したことを他に出て使って、更にそこで他の文化と融合して人が育つ。minoriの考え方も1つ。他の考え方も1つ。これらが合わさっていくことで、美少女ゲーム業界、
もしくはそれ以外の業界にとっても有意義であって欲しいと思っています。
できるようになったら、今度は自身が育てる側にまわって欲しいですし、
それはminoriの内部だけで行うことではなく、
もっと広がりがあっていいんじゃないかって思っています。


──1990年代後半の大手美少女ゲームメーカーがそういう感じでしたね。
どんどん人材を輩出していました。

nbkz:大事なのは、輩出した人ともいい関係を続けることなので、
けんか別れしちゃダメなんですけどね(笑)。
もちろんminoriとしては一時的に戦力ダウンになりますけど、
そこは育成していけばいいだけですから。

僕は美少女ゲーム業界というものがもっとボーダレスになっていくと考えています。

──お話をうかがっていくと、本当に美少女ゲーム業界についてもいろいろ考えられている
nbkzさんですが、そもそも美少女ゲーム業界の現状を、どのように考えられていますか?

nbkz:美少女ゲーム業界に限らず、いわゆるオタク業界というのは、
ユーザーさんと近しい業界なんです。
つまりユーザーさんの顔が見えないと商売ができない──なんでもかんでもオンラインに
行ってしまうのはよくないと思っていのはそういう理由からなんですが。


──電気外祭り(http://www.denkigai.net/dg/
を立ち上げられたりもしていますが、
それも「ユーザーの顔が見えないと商売ができない」からなんですか?

nbkz:そうです。同人即売会的な流れですよね。
そういう「ユーザーの顔が見える」場というのは絶対に必要で、
でも近年それがなくなってきていた。ならば誰かが作らなければいけないじゃないですか。
本来はソフ倫にやってほしいですけどね(笑)。


──確かに(笑)。でも、必要だからとわかっていても、
ご自身で立ち上げるというのは大変だと思います。

nbkz:こういうことは、立ち上げメンバーが少ないほうがいいんです。
人が多くなると予算規模が膨らんで、その結果、何かを決めるのに時間がかかるようになる。
さらに言えば、決め事も多くなってしまうんです。
それは組織内の決め事だけじゃなくて、
イベントそのもののの決め事も増えてしまうということなんですね。
でも、それもお客さんを信じていないからですよ。
最低限のルールさえ決めておけが、あとはお客さんがちゃんとしてくれる。
実際に実際に電気外祭りはうまくまわっていますし、
信じて任せてしまえばきちんと返ってくる性善説的状況はあると思います。
ルールは作れば作るほど、それを守るのにコストがかかってくるし、
参加する人の足も遠ざけるんです。


──言われてみれば、そうですね。

nbkz:間違いないのは、関わる人が増えればお金も増える、ということ。
そして独占が進めば、関わる人間は減るんです。
ゲームの取扱店舗が減るということは関わる人が減るということで、
だから僕は地方の店舗に頑張ってほしいし、積極的に地方店に足を運んだりするんです。
さっきの話ではないですが、会社に人を増やすのも同じで、
「美少女ゲームという文化の担い手」を育て増やすことで、
今は会社のお金を使うことになるけど、10年20年のスパンで見れば、
業界全体に入ってくるお金も増えて、そのおこぼれを享受できると考えているんです。


──そんな中で、今後の美少女ゲーム業界を、どのようにご覧になられていますか?

nbkz:僕は美少女ゲーム業界というものがもっとボーダレスになっていくと考えています。
PCソフトとして出すところもあればandroidやオンラインゲームとして出すところもあり、
2Dや3Dはもちろん、VRを出すところもあり、パッケージ販売もあればDL販売もあり。
いわゆる美少女ゲーム業界と言われるもののボーダーがあいまいになってきている。
それは美少女ゲームの衰退とかとは別の話で──2010年から2015年くらいまでは
確かに衰退期だったと思うんですが、この3年くらいはそういうのとは別に、
ボーダレス化によって、また違う局面を迎えているような気がしています。
これは、発売するハード的な側面だけではなく、
制作側、詰まりソフト側でも起きていることなんじゃないかと。

──確かに近年は、美少女ゲームの作り方も売り方も一気に多様化したように思えます。

nbkz:だから2018年の現在、旧来の「美少女ゲーム業界」というのは
だいぶ曖昧になってしまって、ひょっとしたらもう消えてしまったのかも? とさえ、思います。
ハード的にもソフト的にもボーダレス化が進み、様々な形で美少女コンテンツは発信される中で
「美少女ゲーム業界は衰退した」と見る人もいるし「美少女ゲームの新たな展開が始まった」と
見る人もいるわけです。僕はどちらも間違っていないと思っています。
だから「美少女ゲーム業界をどうしよう」とかじゃなくて、0から1を生み出す、
一次的コンテンツメーカーとしてみんな頑張れたら未来はあると思っています。
例えばbambooさんがクラウドファンディングをやっているのも、そのひとつの形でしょう。
オーガストさんとDMM GAMESさんが組んでソーシャルをやっているのもそうだし、
フロントウイングさんがアニメ方面に進んでいるのも、ボーダレス化のひとつに見えます。
minoriは国内だけでなく海外市場での展開も同時に意識していますし、
各メーカーが「美少女ゲームメーカー」ではなく「コンテンツホルダー」という形に
変わりつつあるんだと思います。


──最後にnbkzさんが今後、どのように美少女ゲームと関わられていくかを教えてください。

nbkz:近年は個人で様々なものを発信する人は増えていますが、
チームとしてモノづくりをする人は減っている気がしています。
僕としては、チームでモノを作るノウハウや楽しさを伝えていけたらなぁと考えています。
minoriをランディングさせたいなぁと思って、当然最後はそこになるんでしょうけど、
もう少し時間はかかりそうです。もっともお金が尽きて強制退場になるかもしれませんが。
いや、いつだってそれは隣り合わせです(笑)。
そんな中、『その日の獣には、』では、社内の若いスタッフがストーリーワークに参加して、
新たなチャレンジをしたりしています。
僕もだいぶ年をとってしまい老いてきているわけですが、美少女ゲーム業界で得たものを
少しでも還元して社会貢献できれば、ここまでやってきた意味があるんじゃないかと思います。
取材・文=cicoly

取材後記

若いスタッフを育て、ブランドだけでなく業界全体を盛り上げていきたいと語るnbkz氏。
『その日の獣には、』も若手のスタッフを起用した作品になっているという。
ブランドのファンが求めるminoriイズムは、新しいスタッフにも確実に継承されているようだ。
そんな最新作の発売日は2018年1月25日となっている。要注目だ。

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