2018年12月10日 公開日

『こいなか』や『こいちゃ』のeRONDO代表 三ツ矢新氏にインタビュー!

eRONDO 三ツ矢新 インタビュー

人はどうやったらエロいと感じるか、どうやったら面白いと感じるかもマニュアル化できます

────『こいなか -小田舎で初恋×中出しセクシャルライフ-(以下、こいなか)』は、
ヒロインのステータス画面が特徴的です。とあるゲームにちょっと似ていますよね(笑)

三ツ矢新:『実況パワフルプロ野球』のパロディですね。
面白いだろうなと思ったら、案の定ウケました。
これは僕個人のネタですが、遊び心がないとゲームはつまらないですから。


────他にも『eRONDO』のゲームには、ボタンを押すだけで
イベントCGやエッチシーンが全開放される、フルコンプボタンがあります。

三ツ矢新:最初にこのシステムを発表した時はTwitterで物議を醸しましたけど、
結果売れたので成功だと思います。
人間は楽な方に流れると思うので、新しいシステムをどんどん実践していきたいですね。

フルコンプボタンはただ楽ができるだけじゃなくて、ちゃんと罰が用意されています。
例えば、ゲーム内で獲得できるプレイヤーの称号が
『フルコンプボタン押しのすけ』に固定されるとか。
タイトル画面が、フルコンプボタンを押したら変わってしまうとか。
逆に、ちゃんとゲームをプレイしてクリアした人にはご褒美が用意されています。
楽をした人とそうでない人でバランスが取れるようにしていますね。
こういった仕様なので、フルコンプボタンを押したのに、
データを消して最初からやり直している方もいました(笑)


────とても楽しんでプレイされているのが伝わってきますね!

三ツ矢新:そうなんです! 嬉しい話です!
称号ってゲームの進行には全く関係ないんです。
そんな意味のない、たった一つのステータスで、ゲームは面白くなるんですよ。
例えば、初代マリオは各ステージのゴールに旗がありますよね?
ジャンプして上に乗ることができると5000点もらえますけど、その数字に意味はありません。
ただスコアが上がるだけ。
しかし、意味がなくても、得点をつけないと人間は上に乗ろうとしません。
こういった、ユーザーの行動を煽るようなギミックを自分のゲームにはたくさん入れています。

ゲームデザインは、いかに無意識のうちに最後までやらせるかっていう戦いなんですよね。
見透かされてしまってはダメです。
「これ意味ないじゃん」と言われてしまったらおしまいですから。
コンシューマーゲームを開発している方のインタビューも、たくさん読んで勉強しています。

人はどうやったらエロいと感じるか、どうやったら面白いと感じるかもマニュアル化できます。
そのマニュアルがたくさんあればあるほど有利。
人間の抗えない本能にダイレクトに刺さりますから。
男はこういう状況になれば興奮するとか、勃起しやすいとか、
そういったことをずっと研究してきました。
その結果、辿りついた結論は「上げてから落とす」ということ。
序盤の共通ルートで、絶対に脱がないだろうというところまで高めてから
エロシーンでもうとことんまでやる! その落差がエロさです。


────確かにエロシーンだけが続くより、
日常シーンも見れた方が、女の子のギャップも見れて興奮しますね。

三ツ矢新:要するに、脱がなさそうな女の子まで高めて脱がせるところが重要なんですよ。
最初から見た目がビッチな女の子はダメです。
そう思っていたのですが、最近はビッチ好きも多くなってきたので、また研究が必要ですね。
でもコンセプトとしては変えません。まだ、こちらの方が王道ですから。

あとはいわゆる「くっころ系」ですね。あれも男が絶対に興奮する。男性の征服欲に訴えかけてくる。
精液を服につけるのも良いです。これがなぜ良いかというと、マーキングになるから。
ユーザーが女の子を「自分のモノにした」と思えるから、服に付けた方が良いのです。
そういう細かいお約束というか、オスの本能に忍び込んでくるようなネタを
細かく入れているから、ご好評をいただいているのだと思います。

それぞれにインセンティブがあるわけですよ。
これが良くてこれはダメはない。動機付けさえしっかりしていれば、何をしても良い。
そうすれば創作の幅が広がって、自由に楽しいことができると思います。

厳しいか厳しくないかはやり方次第。考え方を変えちゃえばそんなに厳しくない

────21年間エロゲを作り続けてきた三ツ矢さんですが、今後の展望を教えていただけますか?

三ツ矢新:ツイッターにも書いてある通り、僕は年金受給者になるまでエロゲを作り続けます。
僕の人生プランとしては、フルプライスのIPを10個持って、老後はそのお金で悠々自適に
エロゲ批評家として過ごしたいですね。

『こいなか』はAndroidでもプレイできるように調整しています。
移植なども含めて、今ある『こいのす』や『こいのす☆イチャコライズ(※以下、こいちゃ)』
といったIPもどんどんバージョンアップしていこうと思います。


────『こいちゃ』はDLCが継続的に出ていました。
これらは最初から制作する計画だったのですか?

三ツ矢新:『こいちゃ』の初回盤を見た瞬間ですね。
とりあえず第3弾まで「DLC出すよ」とは予告していたんですけど、
初回盤の売り上げを見て「あ、やっぱり本当だったんだ」って。
DLサイトのダウンロード数が落ちない。横ばいなんですよね。
じゃあ、ロングテール狙いの方が良いんじゃないかなと思いました。
初回はペイできたら御の字。


────更に、DLCがセットになった完全版も発売されています。

三ツ矢新:完全版はおまけですね。
うちは100%のものを作って、追加コンテンツで120%以上にしていきます。
フルプライス分の価値がある作品をしっかり作ることが大前提。
さらに、予約した方は無料で追加コンテンツをプレイできることにすれば、
早期購入することに価値も出ます。
後から購入した方でも、ダウンロード販売を利用すればおまけもプレイできます。
こうすることで全員がハッピーになれますよね。


────市場的にフルプライスのエロゲは厳しいな、という感覚はありますか?

三ツ矢新:数的に言えば、厳しいは厳しいですけど全然食べていけますよ。
優良なゲームを作っていけば、どんどん有利になりますから。
厳しいか厳しくないかはやり方次第。考え方を変えちゃえばそんなに厳しくない。
苦しいところは苦しいなりの理由が絶対にあると思います。

例えば、うちは在籍スタッフを極力少なくしています。
現在は従業員1名に、社長が1名。他は全部外注。
ランニングコストは低いに越したことはないですから。
僕が優秀なディレクターポジションだから、外注でも良いゲームが作れちゃうんですよね。
なので、個人的にスタッフをたくさん抱える意味はないと思います。


────では、作品ごとにスタッフを集めているということでしょうか?

三ツ矢新:映画監督が会社を作って、作品毎にチームを編成するみたいなものです。
僕が映画監督で、プロダクション会社を持っています。
自分で映画の企画を立てて、制作して、興行収入を立てる。その繰り返しです。


────在籍スタッフを少なくするというのは、
『ワンポイント』を立ち上げた当初からの計画だったのでしょうか?

三ツ矢新:そういうことです。これは戦略的に、意図的にやっています。
いろんな人の失敗を見てきていますから、趣味で分析しちゃうんですよね。
うちは明確に非拡張主義を出しています。
在籍スタッフは少なくして、PCゲームしか作らないぞ、と。


────例えば『こいなか』はOVA化されていますが、
そういった企画は、三ツ矢さんの方から持ちかけたものではないということでしょうか。

三ツ矢新:先方からのオファーです。
優良コンテンツを作っていれば、オファーが来るものです。
うちは、とにかくクオリティの高いエロゲを作ることにこだわっています。


────良いものを作り続けるということですよね。

三ツ矢新:そこだけは譲れません。やっぱりクオリティコントロールに関しては厳しいですよ。
僕の柱は企画とコンセプトです。そこは絶対にブレないようにディレクションしています。
もちろん完成させることが大前提なので、わがままを言うスタッフはどれだけ有能でも切ります。
泣いて馬謖を切るじゃないですけど、色んな勇気がいるんですよ。

常にオープンでいた方が楽しい気がするんですよね

────少し前に、Twiterで三ツ矢新さんが話題になっていましたよね?
JR北海道の件です。Togetterにもまとめられていました。【※】

三ツ矢新:あれはブログに書いた通りです。
電車が動かなくて暇だったので、Twitterで遊んでいました。


────Twitterの出来事は全部オンタイムだったのですか?

三ツ矢新:そうですね。暇つぶしに煽り合いをしてたら、Twitterが炎上しちゃいました。
アンケートを取っていたら変な人が絡んできて、
僕はやることがないから遊びで煽り合いをしていたら、
どんどん炎上しちゃったんですよね。でも、ちょっと心が温まるエピソードもあるんですよ。
「この会社のゲーム絶対買わない」というツイートをした方が、
後日リプライを送ってくれたんですよ。
「やりすぎました。ごめんなさい」「あれ消します」って。そこでお互い和解しました(笑)
こういうことがあるから、人生は面白いと思います。
常にオープンでいた方が楽しい気がするんですよね。


────最後になりますが、『eRONDO』の今後についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
これからもゲームは作り続けていくとのことですが、現在は何を作られているのですか?

三ツ矢新:コンテンツで言うと『こいなか』のアンドロイド版です。
あとはドラマCDをタイトル別に全部集めた、DVDかブルーレイを出そうかなと思ってます。
それ以外の情報はまだ秘密ですが、色々と仕込んではいます。
今後とも『eRONDO』をよろしくお願いします!


※話題になったTogetterまとめはこちら
https://togetter.com/li/1238412

取材後記

「これからもエロゲを作り続けていく」
今回の取材では、そんな頼もしい言葉を聞くことができた。
つまらないことが嫌いだという三ツ矢さんは、
取材中も様々なエピソードで我々を楽しませてくれた。
ゲームでも『こいなか』『こいのす』と2作続けて独特のシステムで
楽しませてくれた。彼は次にどんなゲームを企んでいるのだろう?
期待は膨らむばかりだ。

取材・文=かいちょ(cicoly)

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この記事のライター

かいちょ かいちょ

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