2018年12月12日 公開日

『神待ちサナちゃん』や『円交少女』のFrill代表 丘野塔也氏にインタビュー

Frill tone work’s Key 丘野塔也 インタビュー

濃いファンの方からは、『tone work's』は白い『Frill』って言われてます(笑)

────丘野さんは『Frill』以外のブランドにも関わってますよね?

丘野塔也:まず『Frill』があって、『tone work's』というブランドもあります。
こちらはストーリーやキャラ萌え寄りのピュアなゲームを制作しています。
実際、作っている人はほぼ一緒なんですよ。
もちろんそれ以外の人のスタッフも入ってますけど。
濃いファンの方からは、『tone work's』は白い『Frill』って言われてます(笑)


────処女作の『初恋1/1』は、記念作品という位置付けで発表されましたよね

丘野塔也:ビジュアルアーツ20周年作品です。
なので予算をたくさんもらってだいぶ好きにやらせてもらいました。
結果としてペイにしたのですが、馬場社長に「やってくれたな」と言われました(笑)


────『tone work's』の最近の動きは?

丘野塔也:今は新作を仕込んでいます。
早く発表したいんですけども、ちょっと色々あって遅れています。
(2018年12月5日、新作『月の彼方で逢いましょう』を発表!http://toneworks.product.co.jp/top.html


────『tone work's』でも代表的な位置でしょうか?

丘野塔也:そうです。僕が責任者としてやっています。

ブランドの垣根を超えて作ったのが『Summer Pockets』ですね

────では『Key』の方も?

丘野塔也:『Key』は、『Summer Pockets』というプロジェクトの
プロデューサーを担当した形ですね。
『Key』は独立したブランドで、『Key』という部署があって、
そのリーダーは麻枝准がやってます。
ただ、今回はかなり大きなプロジェクトでマンパワーが足りないなということで、
僕がプロデューサー、ライターの魁がディレクターとして入ることになりました。
ある意味、ブランドの垣根を超えて作ったのが『Summer Pockets』ですね。


────なるほど。

丘野塔也:プロデューサーとしての役割だけで関わるのは初めてだったので、
わからないこともたくさんありました。
ただ、プロデューサーが他のクリエイターを差し置いて(インタビュー等で)
ベラベラと喋るのは違うかなっていうのがあったので、
僕じゃなきゃいけない時以外はあまり言わないでおこうと思いました。
押し付ける訳ではないですけど、他のライターさんやディレクターの魁に
「お願いします!」という感じで、雑誌やラジオで語ってもらいました。
僕もたまに出てますけど、そんなに多くはないです。
もしかしたら、今回のように語るのは初かもしれません。
────今だから話せるプロデューサートークのようなものは何かありますか?

丘野塔也:『Frill』とかは自分が作ったブランドです。
なので好き勝手と言ったらあれですけど、自分で最後は決めることができるんですよ。
でも『Key』というのは僕が入社する前からずっとやっているブランドですから、
ファンの考えも違うし、求めているものも違う。
だからと言って、僕が率先してこうじゃなきゃダメだっていうのも変だし、
かといって傍観しているわけにもいかない。
そういった部分の塩梅(あんばい)がすごく難しかったです。


────プロデューサーならではの苦労ですね。

丘野塔也:今回は手法として、基本的にスタッフ全員と話しながら固めていきました。
その中で、どこでどんな口を挟むのか? というのをずっと考えながらやってきました。
もうちょっとこうしてください、もうちょっと明るい方がいいな、みたいな。
周りから「お前考えろよ」みたいに思われたかもしれないですけど(笑)


────雑誌の編集者に近い印象ですね。

丘野塔也:そんな感じですね。
今までやってきてつくづく思うのは、やっぱりクリエイターって
「これが俺の仕事だ」と思ったら数倍の力を発揮するんですよね。
でも、「これは俺の仕事じゃないんだ」と思われたら、
途端に3分の1くらいのスペックになってしまう。
そこで「この仕事はあなたにしかできないんです」というのを
いかに伝えるかをすごく考えましたね。
僕もやっぱりクリエイター側になるとそこらへん雑になっちゃうんですけど。


────自分で直せばいいや、と思ってしまうことはありますよね

丘野塔也:そうなんですよ。
でも、そうしてしまうのは良くないなと常に思っていました。


────『Frill』のプロデューサーをするときはもう少し自分の意思みたいなものを入れていた?

丘野塔也:プロデューサー兼監督ですから
「自分はこうだからこう!」みたいに自分で決めていました。
今回のような立場は今までなかったので、すごく勉強になりました。


────自分以外のクリエイターの味みたいなものを大切にしていた感じでしょうか?

丘野塔也:それをやっぱり大事にしたいです。
こちらが求めている色はありますけど、
それを押し付けすぎるといいものにならないと思いますから。


────『Key』の色と言いますかイメージというのはスタッフの皆さんは共有している?

丘野塔也:してますね。僕も元々は『ONE』をプレイして『ビジュアルアーツ』に入ったので…
メーカーは違いますけど(笑)
元々僕もユーザーだったので、何となくノリはわかっていました。


────当時のスタッフは、どのくらい残っていらっしゃるんですか?

丘野塔也:『Key』は新しいスタッフも入ってきていますが、
あまり抜けていく人はいないですね。
なので、みんなその頃からの様式美はちゃんとわかってると思います。
今回サブ原画を担当していたふむゆんさんは若いんですけど、
それ以外はもう創世記か、それに近いくらいからスタッフが常駐で入っています。
なんだかんだで僕も歴代の作品のデバックであったりとか、
特殊な評価版をプレイして感想をあげたりとか、
そういうことをずっとやっていたので、作風は全部知っています。


────制作の流れも特殊と聞きました。

丘野塔也:今まで『Key』は各ルートに関してはライターの裁量がかなり大きかったんですが、
今回はいろいろ細かくお願いしました。
だから、ライターさんには苦労をかけたと思います。本当、お疲れ様でした(汗)

ライトソシャゲみたいな。そういうゲームを作りたい

────最後になりますが、今後の展望や野望などがあればもらえますか?

丘野塔也:そろそろ無料化の流れがきてるのかなと思いまして。
それも単純に無料で、コンテンツを出して、副産物で儲けるっていうのをやっていくべきかなと。
そこでいろいろ考えてはいます。もっとパッと遊べるような感じですね。
コア層5%の法則と勝手に言っているんですけど、1万人のお客さんがいたら、
その5%の500人のお客さんは熱心なファンになってくれる。
そういった層を増やして、厚めのサポートを提示しつつ収益をあげていきたいなと。


────新しい取り組みですね。

丘野塔也:はい。そういったものを2018~19年にかけてやっていきたいなと思っています。


────ということは、もう仕込んでいると思いますが、
どのような感じか話せそうなことはありますか?

丘野塔也:いくつかあるんですけども……。
エロコンテンツで言えば、例えばファンタジーの世界で、ヒロインが3人いるとします。
この3人と冒険ができて、エロもあります。
追加の4人目の女の子もいますけど、この子は有料にする。


────追加キャラを有料にする?

丘野塔也:もしくは追加シーンを有料にするとか。
そうやって一個大きな枠組みを作って、そこで基本は楽しんでいただければと。
世界観を広げていくにはどんどん買ってください、みたいなことをしたいですね。


────ということは、キャラクターを生み出すところが要になる感じですね。

丘野塔也:やっぱりお客さんが好きなのはキャラクターだと思うので。
お金に清いと言ったら言葉は綺麗なんですけど、
お客さんにお金を使わせるのは申し訳ないという考え方を持っていたんです。
ただ、最近ちょっと考え方が変わってきて、
キャラが好きな人はいくらでもお金を使いたくなるんじゃないかなと。
そのキャラが好きなら別にそれって惜しくないし、
むしろそういうものを提供することが正規なんだと思います。


────確かに、気になったキャラクターに追加の何かがあると買ってしまいますね。

丘野塔也:言葉が悪いかもしれないですけど、ソシャゲじゃないソシャゲを作りたいんですよ。
ソシャゲじゃないけれども、ソシャゲ的な要素が入ってて物語が続いて、
ずっと浸っていられるような……。ライトソシャゲみたいな。そういうゲームを作りたい。


────いいですね。今風のゲームだと思います。いつ頃情報が出るとかありますか?

丘野塔也:構想の段階で仕込み中なので。これから形にしていこうかなと思っています。


────乞うご期待という感じですね。
ちなみになのですが、ペンネームはどうやって決められたんですか?

丘野塔也:ペンネームはもともと別の名前を適当につけたんですよ。
それで『AIR』のスタッフロールに載せてもらうことになって書いたら、
麻枝からダサいって言われて(笑)
「じゃあ考えてくださいよ~」って言ったら結構真面目に、10案くらい考えてくれました。
その中から、じゃあこれでという感じで。結果として丘野塔也になりました(笑)

取材後記

『Frill』だけではなく『tone work's』や『Summer Pockets』の話も聞くことができた。
『tone work's』は新作『月の彼方で逢いましょう』が発表されたので、要チェックだ。
『Frill』の方も、一ファンとしてはフルプライスを遊んでみたいところだがどうなるのか?
今後の展開に期待しよう!
取材・文=かいちょ(cicoly)
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この記事のライター

かいちょ かいちょ

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